ペットと一緒に安全に避難するために。ペットの防災対策
防災・知識
筆者の友人に、都内のマンションで猫と暮らしている人がいます。その猫は生まれてからほとんど外に出たことがないので外出を嫌がっていたのですが、この春からベビーカーに載せてお散歩に挑戦しているそうです。
災害避難などで急に外出しなければいけなくなったときにペットがパニックになってしまうこともあるので日ごろから練習しておきましょうと、動物病院でおすすめされたそうです。
2011年の東日本大震災では、ペットが飼い主とはぐれて野放し状態になってしまったというケースが続出したため、環境省は2013年に「災害時におけるペットの救護対策ガイドライン」を作成しました。
その後、2018年に「人とペットの災害対策ガイドライン」へ改訂され、ペットは飼い主と「同行避難」することが原則と示されました。こういったお散歩訓練は、同行避難の練習となります。
台風や地震などの災害はいつやってくるか分かりません。大切なペットを守るために日ごろからどんな対策をしておけばいいのか調べました。
ペットと「同行避難」ってどういうこと?
2018年に環境省が作成した「人とペットの災害対策ガイドライン」では、災害時にペットと避難するときの飼い主の行動が詳しく書かれています。 そこには、「同行避難」が原則であると示されています。
「人とペットの災害対策ガイドライン」
https://www.env.go.jp/nature/dobutsu/aigo/2_data/pamph/h3002.html
この、「同行避難」とはどういうことでしょうか。
避難所でペットと飼い主が一緒に過ごすとイメージする方がほとんどだと思うのですが、実はそうではないのです。
「ペット受け入れ可」の避難所の多くは、人とペットの避難エリアを別にしていて、人間が生活するエリアにはペットは入ることができません。
避難所の運営方法は各自治体にゆだねられていて、同行避難したペットをどのように受け入れるのかという方針は自治体によってばらばらになっています。お住まいの自治体ではペットの同行避難をどのように行うか確認してみてください。自治体のウェブサイトに記載されていることが多いようです。
避難所では、動物が苦手という方もいますし、大きな不安の中で過ごすので周りの様子にいつも以上に気になっている方も多くいます。ペットの受け入れ可となっている避難所でも、ペットへの苦情が寄せられてトラブルになることがあります。抜け毛や排泄物の処理など衛生面に気を付けたり、飼い主同士でも協力しあうことが必要です。
2016年に起きた熊本震災の際、益城町の避難所では、そうしたトラブルを防ぐためにボランティア団体が避難所の裏にペットと飼い主がいっしょに過ごせるテントを設営しました。
参考 明日を守るナビ
ペット用の防災グッズに入れるものリスト
避難所では食料や飲料などが配給されますが、これは人間用です。ペット用の食料が準備されることはめったにありません。そのため、避難グッズ、防災グッズの中にペット用の備蓄品を準備しておきましょう。
「人とペットの災害対策ガイドライン」では、どんなものを準備すればいいかリストが掲載されています。重要度の優先順位も載っていますので、状況によって選べるようになっています。 目につくところに貼っておくといいと思います。
参考:愛知県庁 ペットの災害対策
【 優先順位 1 】動物の健康や命に係わるもの
- 療法食、薬
- フード、水(少なくとも5日分、できれば7日分以上)
- キャリーバッグやケージ
- 予備の首輪、リード(伸びないもの)
- トイレ用品(ペットシーツ、排泄物の処理用具、猫砂)
- 食器
【 優先順位 2 】情報
- 飼い主の連絡先とペットに関する飼い主以外の緊急連絡先・預かり先などの情報
- ペットの写真(携帯電話に画像を保存することも有効)
- ワクチン接種状況、既往症、健康状態、かかりつけの動物病院などの情報
【優先順位 3 】ペット用品
- タオル、ブラシ
- ウェットタオルや清浄綿(目や耳の掃除など多用途に利用可能)
- ビニール袋(排泄物の処理など他用途に利用可能)
- お気に入りのおもちゃなど匂いがついた用品
- 洗濯ネット(猫の場合は屋外診療・保護の際に有用)など
- ガムテープやマジック(ケージの補修、段ボールを用いたハウス作り、動物情報の掲示、など多用途に使用可能)
災害時はペットもストレスを感じているので、食べ慣れていない餌を受け付けなかったり、体調を崩したりしがちです。
できるだけ、いつも食べているもの、いつも使っているグッズを用意しておき、ストレスを和らげる工夫をしましょう。
今できる準備とは?
ワクチン接種をしておく
ワクチン接種をしていないペットは、避難所で受け入れ拒否をされてしまいます。定期的なワクチン接種や健康診断をしておきましょう。
迷子札をつける
万が一、ペットとはぐれてしまったとき、首輪や迷子札が捜索時の重要なポイントとなります。
ペットの性格、癖を知っておく
いつもと違う環境でペットを落ち着かせるには、そのペットの性格や癖を知っておくことが必要です。どんな行動、どんな声かけ、どんなものを食べさせるとペットが落ち着くのか、普段からよく観察しておきましょう
体のどこでもさわれるようにしておく
災害時の健康チェック、応急処置などで、飼い主以外の人から触られることもあります。どこを触られても嫌がらないようにする訓練をしておきましょう。
ケージに慣らしておく
ケージやキャリーバッグは、普段から扉を開けた状態で部屋に置き、ペットが中に入って眠ったりくつろいだりできるよう慣らしておきましょう。
「ここに入ると安心だ」と覚えさせておくと、知らない場所にいてもストレスを感じにくくなります。
参考 環境省「ペットも守ろう!防災対策」
https://www.env.go.jp/nature/dobutsu/aigo/2_data/pamph/h2909a.html
まとめ
- 災害時の基本行動はペットと同行避難だけれども、避難所では人間とペットの生活スペースは分けられている
- 防災グッズに、ペット用のものを入れておく
- 避難所では飼い主同士の協力が不可欠
- 避難時、揺れの強かったときは電気のブレーカーを落とす
- 非常時でもペットが安心して過ごせるような準備、しつけをしておく
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